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News Release

最新報告書、現在のグローバル・ガバナンス体制ではグローバルリスクへの対処能力不足と警告

2011112日、英国、ロンドン 金融危機により、世界の衝撃に対処する力は衰退しています。 世界の安定を脅かすリスクの頻度と深刻度が増大する一方で、それらに対処するためのグローバル・ガバナンス体制の強化は進んでいません。 本日発表の世界経済フォーラム「2011年グローバルリスク報告書 (第6回調査)」」はこのように結論付けている。

世界経済フォーラムのマネージング・ディレクター兼チーフ・ビジネス・オフィサーであるロバート・グリーンヒルは次のように述べています。「20世紀のシステムで21世紀のリスクを管理することは不可能です。グローバルリスクがグローバルクライシスになってしまう前にリスクを特定して対処するには、新しいネットワーク化されたシステムが必要です」。

特に経済格差グローバル・ガバナンスの破綻は、様々なグローバルリスクを方向付ける主要なリスクであり、個々のリスクに対する対処能力の抑制要因となりうるものです。 特に現在のリスクの相互関連性と複雑さは、多くの予期せぬ結果をもたらすであろうことを意味しており、従来のリスク対応メカニズムでは往々にして、単に個々のリスクをその他のステークホルダーや社会に移行するだけに過ぎません。

量的・質的側面からの分析を通し「グローバルリスク2011」では、3つの主要リスクが今後10年間に大きな障害をもらたすと結論付けました。

 マクロ経済のリスク: 世界的な金融危機は、グローバル経済における長期的な構造上の脆弱性に起因していました。 マクロ経済の不均衡、先進国の財政危機、多額の未積立債務、脆弱な金融市場が経済的リスクの複雑な結びつきを形成しています。 金融危機によって生じた債務は、追加的な危機に対処するための能力を著しく低下させました。 チューリッヒ・ファイナンシャル・サービシズ(スイス)のチーフエコノミストであるダニエル・M・ホフマン氏は次のように述べています。 「現在の財政政策は大半の先進工業国で持続不可能です。 大規模な構造的改革がない場合には、政府債務不履行のリスクが高まります」。 スイス再保険(スイス)の再保険部門チーフ・マーケティング・オフィサー兼エグゼクティブ・コミッティーメンバーであるクリスチャン・ムーメンタラー氏は次のように述べています。 「高齢化によって生じた長期間にわたる未積立債務が意味するのは、今後も引き続き財政圧力が高まるということです。 真の官民パートナーシップを介してのみ、私たちは関連する財政的課題に対処することができ、そして社会にとって長寿は好ましい傾向として残すことができるのです」。

不正経済: 多くの破綻国家および脆弱国家、不正取引の悪化、組織犯罪、不正行為が犯罪リスクの結びつきを形成しています。 ネットワーク化された世界では、ガバナンスの破綻および経済格差が不正の蔓延を引き起こすきっかけをもたらします。 2009年の全世界の不正取引額は1兆3000億米ドルと推計されており、その額は増え続けています。 これらのリスクは、正当な経済活動への莫大なコストをもたらすと同時に、国の衰退を招き、発展の機会を脅かし、法規を弱体化させ、国々を貧困と不安定の連鎖へ陥れるのです。 効果的な国際協力が急務とされます。

発展に必要な資源の限界: 世界は、必要最低限の水、食糧、エネルギーの深刻な限界に直面しています。 人口の増加、消費の増加、気候変動がこの問題の要因であると同時に、これら要因の相互関連性が問題への対処を困難にしています。 ほとんどの介入が、単に新しい問題を引き起こすか、さらに問題を悪化させるか、またはこの関連性の中でリスクを移行するだけです。 主要資源の枯渇が招くであろう事象は、それら資源を必要とする社会集団、国家、産業間の対立です。「食糧、水、エネルギー資源への需要は、2桁の上昇を示しています。 未だ続く財政赤字が、資源確保と資源へのアクセスの改善に極めて重要なインフラへの投資を脅かしています。 結果として生じる資源の枯渇が、世界の繁栄を脅かしているのです」とオリバー・ワイマン・グループ(マーシュ・ アンド・マクレナン・カンパニーズ)の社長兼最高経営責任者であるジョン・ドゥリジック氏は述べています。

これら3つのリスクに加え、「グローバルリスク2011」では、5つの注視すべき新興リスクを特定しています。

  • サイバーセキュリティ: 情報管理の新しいフロンティアであり、ハッカーや大規模なサービス障害から未知の可能性の国家間サイバー戦争までを含む。
  • 人口増加: 脆弱かつ資源に制約のある国々では、人口増加が暴力行為の急増および国家の崩壊をもたらす「人口クラスター爆弾」の原因となる可能性がある。
  • 資源不足: 農産物、水、エネルギーの限界が、発展への厳しい隔たりとなり、対立の場を生み出す。
  • グローバル化の抑制: 経済の不均衡が拡大するにつれ、グローバル化に対するポピュリスト的(一般大衆受けする)反発が経済的および政治的統合を決裂させる可能性がある。
  • 核兵器、生物兵器の脅威は脆弱な世界における新たな懸念事項である。

これらのリスクの性質の変化を考慮し、世界経済フォーラムは、1月26日から30日までスイスのダボス・クロスターズで開催される2011年世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)にて、「リスク・レスポンス・ネットワーク(Risk Response Network)」を立ち上げます。 このネットワークは、リーダーたちが直面しているリスクの複雑さに対処する新しいアプローチを提示し、それらリスクから生まれる機会を捕らえることを可能にします。

ウォートン・リスクマネジメント・アンド・デシジョンプロセス・センターの共同ディレクターであるハワード・クンルーサー氏は次のように述べています。 「ビジネスリーダーおよび意思決定者が、即座で短期的な解決策に対する行動バイアスを乗り越え、長期的な思考に転換することができたば、ますます複雑化し、結びつきが強くなっているグローバルリスクの緩和に適した姿勢を取り入れることに著しい進展をもたらすことができるでしょう」。 

 「グローバルリスク2011」は、Marsh & McLennan Companies、Swiss Reinsurance Company、the Wharton Center for Risk Management、Zurich Financial Servicesの協力を得て発行されました。本報告書は、2010年に行われた世界経済フォーラムのグローバルリスク調査に回答した様々なステークホルダー及び地域を超えた総勢580名以上の専門家の見識を引用しています。この調査は今後10年間の展望期間で、37のグローバルリスクの発生確率、影響、相互関連性の認識を評価するものです。 本調査の結果は報告書に掲載されています。 また「グローバルリスク2011」では、多くの新興リスクについての見識および今後突如として起こりうる可能性のある2011年のグローバルリスクの展望の要点がまとめられています。

編集者注記 

 


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