スイスの雪山を熱くしたもの

スイス、ダボスで開催された、世界経済フォーラム年次総会2019
スイス、ダボスで開催された、世界経済フォーラム年次総会2019Image: 世界経済フォーラム / Christian Clavadetscher

最低気温がマイナス16度にまで下がったスイスのダボス・クロスターズで開催された、2019年世界経済フォーラム年次総会。今年は1月22日から4日間の日程で開催されました。

ダボス会議というのは通称。国際機関でもあり研究機関でもある世界経済フォーラムが、年間を通じて発表した研究を元に、翌年以降も取り掛かるべき地球規模課題に対する対策を議論する場が、世界経済フォーラム年次総会です。今年は、110カ国から3,000名を超える参加者と60人以上の国家元首や政府代表、国際機関の代表者も集まり、「グローバリゼーション4.0‐第四次産業革命の時代に形成するグローバル・アーキテクチャー」のテーマのもと、様々な議論が展開されました。

会議というよりは、議論の場と言った方が、イメージが近いかもしれません。会場には、本会議場をはじめ、20人から200人収容可能な会場で、350以上のセッションが開催されました。どのセッションでも、さまざまな議論が展開されます。そして、参加者は参加するだけではなく、発言などを通じて貢献する事が求められます。また、150以上のセッションはライブでストリーミングされ、そのままウェブサイトでいつでも閲覧できるようになり、またソーシャルメディア上の対話を促す事で、世界中どこにいても参加できる仕組みを設けました。

今年の総会のテーマは、「グローバリゼーション4.0‐第四次産業革命の時代に形成するグローバル・アーキテクチャー」。地政学のシフト、格差、気候変動、そして第四次産業革命といった4つの要素が影響し合う複雑かつこれまでにないスピードで物事が動き変わるグローバリゼーション4.0の時代に、世界は、地球は、どのように人を取り残す事なく発展を続けるのか。そこには、環境問題をはじめとした、さまざまな課題が山積しています。

こうした地球規模課題への取り組みは、ひとつの企業、国や地域で解決できるものではありません。国や地域を超え、若手からベテラン、ビジネスや公的機関、国籍や性別を問わない多様性をもって、取り組む事が余儀なくされます。世界経済フォーラムはこうした認識をもとに、年次総会でもさまざまな年代や分野の方々の参加を企画。今年は共同議長に、マイクロソフト社CEOのサティア・ナデラ氏他6名の若手(グローバルシェイパーズ:30歳以下のグローバル・ネットワーク)を指名。徳島県にあるNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーの理事長である坂野晶氏も、この共同議長として参加されました。世界経済フォーラムの年次総会では、年齢や肩書き、国や性別、障害のあるなしを超え、地球規模で取り組む事が避けられない課題が山積しているという日々の研究発表から、年次総会の場で議論を投げかけているのです。

今年、日本からは、安倍首相も2014年以来5年ぶりに参加。また、河野外務大臣、世耕経済産業大臣、石井 啓一国土交通大臣、片山 さつき内閣府特命担当大臣 も参加。ビジネス界や学術界からは、例年よりも多い100名を超える参加があり、日本の存在感がありました。

課題が山積する中、世界経済フォーラムが2019年年次総会でもっとも注力したのか、第四次産業革命時代におけるスキルギャップの縮小、生物多様性保護のための官民連携の場の構築、海洋保護があります。10年前までは、世界経済フォーラムの年次総会というと、金融、ファイナンス、といった経済中心の話題が多く取り上げられていましたが、地球がさまざまなところで悲鳴を上げている今日、サステナビリティが、経済問題や地政学的な問題と密接にからみあっていることを体現しています。

日本でも頻繁に耳にするようになったSDGs (Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))も、さまざまなセッションで取り上げられました。SDGsは今や「nice-to-have(あるといいもの)」ではなく、企業の根幹となるものである事は明らか。また、第四次産業革命という、これまでにない速さで物事が動き変わる時代、100歳まで生きると言われる我々の人生そのものを持続可能にするには、どうすればよいのか。「リスキル」「再教育」が不可欠であることも見えてきました。

最終日に参加したスェーデン出身の16歳、環境活動家グレタ・トゥンベルクさんの言葉が胸に突き刺さります。「大人は次の世代に希望を、と言います。希望など必要ありません。必要なのは、大人たちが現状に対する危機感を高めて、パニックする事です。目の前で火事で家が燃えていたら、すぐに行動を取るように、今すぐ行動してもらいたい。地球は今、火事で燃えている状況にあるのです」。

世界経済フォーラム日本代表 江田麻季子

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